Bio Wine(ビオワイン考)

旧サイトのコンテンツを移設しました。内容はもう10年も前に書いたものですが、また勉強しながら再編をしようと思います。近年はビオワインも特別なものではなく、ブドウ本来の力を引き出すテクニカルな選択肢としての普及が進んでいるようです。


ビオワインとは

オワインとは無農薬有機農法のブドウで造ったワインのことで、ビオロジックワインとビオディナミワインに分類できます。ビオロジックワインは、化学肥料や化学合成肥料などを使用しない生産者が無農薬で栽培した葡萄からできたワインで、自然環境に配慮して作られたワインです。ビオロジックワインの畑は農薬などを使用せず、肥料も鶏糞などの自然のものが使用されます。また、本来SO2(亜硫酸塩=酸化防止剤)はワイン醸造で必要不可欠といわれていますが、ビオロジックのワインでは基本的に使用しません。ビオディナミワインは、ビオロジックの取り組みに加え、1924年に人智学者のルドルフ・シュタイナーが説いた植物と天体の関連を体現した農法の生産者の葡萄から作られたワインをいいます。ビオディナミでは畑を取り巻く生態系を最も重視し、化学薬品・肥料を否定します。ビオディナミではプレパラシオン(フランス語で調合または調合薬)と呼ばれる、自然界に存在する物質を調合した調剤を使用して土壌や葡萄樹の能力を引き出すとしています。

 

レパラシオンは調合した物質を与えるのでなく、調合から生まれたエネルギーを与えるものと考えられています。実際、畑に使用する生成される物質の量は、ヘクタールあたり数グラム程度で、そのもので影響を与えるにはあまりに少ない量です。こうしたプレパラシオンで出来た物質をエネルギーに変えるのがディザミナシオンいわれる希釈過程で、希釈によって畑に及ぼすエネルギーが増すというのがビオディナミでの定義です。プレパラシオンはさまざまで、牛の角に牛糞を詰め、冬の間土中で寝かせたものや、水晶を砕いて粉状にし、牛角にいれて寝かせたものは希釈して使用します。このほかにもアキレーの花を鹿の膀胱に入れ、吊るすことで、花の持つ硫黄が土中のカリウムを呼び起こして植物の活性化を促すといったものもあります。こうしたプレパラシオン使用や農作業、剪定の日などは、すべて天地占星的なビオカレンダーに基づいて行われ、月の様相や月の公転面の昇降、太陽における地球の公転面の昇降における地球への気圧や引力、潮力の影響など、天地占星的な要素を多分に含んでいます。これらの栽培・育成で作られたワインは、EUで定められた加盟国共通の基準で、ビオワインとして認定するか審査されます。ビオワインを認定する団体はこのほかにも多数あります。ワインの原料であるブドウがビオロジックやビオディナミで栽培されていれば、「ビオワイン」と表示することができます。しかしながら、実際に出来上がったワインが完全に無添加であるとは限りません。ワインの醸造過程で添加物が必要とされる場合もあり、ビオワインの呼称ではまったく添加が認められていないわけではないからです。ビオロジックもビオディナミも、べト病対策に硫酸銅溶剤であるボルドー液、うどん粉病対策に硫黄散布が認められています。

 

年、多くの生産者がこのビオディナミに取り組んでいます。ローヌにおけるビオディナミ栽培の先駆者であるM・シャプティエの言葉を引用すると、「葡萄樹に寄生虫がついたとき、化学農法では殺虫剤を散布するが、これは間違いだ。なぜなら、虫の存在そのものが問題なのではなく虫が多すぎることが問題だから。殺虫剤を撒くことで一つのシステムに働きかけようとすると、結果は全体のメカニズムを壊してしまうことになる。有機農法の場合は、寄生虫の駆除に捕食者を使う。捕食をする天敵となる生物を畑に呼び戻すわけだが、そもそも畑に天敵がいなくなっていたことについては何か理由があるはずだ。それが解決されなければ、捕食者はいずれまたいなくなってしまう。ビオディナミにおいては、もっと論理的な対応をする。葡萄を食べる虫がいるとすれば、問題は虫そのものではなく虫が沢山い過ぎることにある。次ぎに何故その虫の天敵がいなくなってしまったのかを考えると、答えは天敵が繁殖しにくい環境になってしまったからだ。問題は天敵が抱えるホルモンにある。ある種の植物がなくなり、天敵となる生物のホルモンに働きかける光とアロマの刺激がなくなってしまったためであった。そこで、その植物を畑の中にもう一度植えたら、2年のうちには天敵 が十分な数だけ復活し葡萄を食べる害虫の数も減った。これは生命のディナミ(ダイナミック)を手助けしただけで、特に何かの力を使ったわけではない。ビオディナミの畑では、普通の畑の1OO万倍に相当する数のバクテリアが存在している。土壌の研究を通して分かることは、私たちは自然界のバランスの中ですべてのものが生き、存在しているということだ。私たちはその生態系の中で自然にバランスのとれた命の在り様を求めており、生態系に影響らない。これは決して迷信ではない」とビオディナミを説明します。

 

オロジックワインもビオディナミワインも、立派なナチュラルワインだといえます。ビオディナミワインのほうが、より突き詰めたビオワインいう印象もありますが、消費者がどこまでビオを求めるかによって好みが分かれるところでしょう。

ビオワインとSO2

オディナミはもちろん、ビオロジックも自然の生態系を壊さずに葡萄を栽培します。畑には何らかの微生物がいて、放っておけば雑草なども生えてきます。これらの生態系を壊さずに維持するということは、当然農薬など散布しません。そのため、ビオの畑の多くは雑草などで覆われています。ワインの味は、気候や地勢、土壌などテロワールを表現したものといわれます。ビオワインの畑では、これらに加えて土中の微生物などさまざまな要素も、テロワールからの味に重要に携わっていると考えられており、農薬などを使用しません。こうして守り作られる畑からできるワインには天然酵母が含まれます。ワインを発酵させる際には、通常、SO2(亜硫酸塩=酸化防止剤)を使用します。果汁の酸化を防ぎ、酵母の活動を抑制するためです。使用せずに自然発酵が進むと、過剰に酸化が進んで芳醇な果実香が失われ、発酵臭だけが強調されたようなワインになってしまうリスクがあります。しかし、ビオワインの醸造では酸化は自然の生育過程と考え、こうしたSO2の使用を嫌います。SO2の使用で天然酵母が抑えられ、テロワールの味が損なわれると考えるためです。そして、壜詰めでもSO2を嫌う生産者もいます。壜詰め時のSO2使用は、壜内での微生物による二次発酵を防ぐ役割があります。使用しないと、よほど温度管理された低温でないと、微発泡することがあります。しかしながら、この微発泡までも、ビオワインの特徴と位置づけ、その味わいは自然そのものであると生産者は考えているのです。瓶詰め時のSO2使用は醸造家によって意見が分かれる所で、SO2使用で最小限の雑味を消し、果実味をくっきりと出すメリットもあることから、ここで使用するケースも少なくありません。

ビオワインの特徴

オワインの特徴はなんといってもその香りです。天然酵母による醸造でできたワインであることから、SO2を使用しないことによる雑菌や微生物の作用、酸化や二次発酵などが原因と考えられます。もともと葡萄の果皮には野生の酵母が複数種類付着していて、ワインのアルコール発酵に良好に寄与するのはそのうちわずか。残りは、劣化の原因となる変化を及ぼす酵母です。醸造過程や熟成過程で不衛生であった樽から細菌などの影響を受けることもあります。こうした微生物・細菌がSO2不使用によって繁殖し、ビオ独特の複雑な香りを放つといわれます。また、清澄・濾過せずに通常の高圧壜詰めされた壜は内気圧が外気圧より高くなるため、抜栓時に澱が舞いワインにが臭くなるとも言われます。こうしたさまざまな要因で生まれるビオ独特の複雑な香りは樹木の腐敗臭とも表現でき、好みが分かれるところです。また、ビオワインは過剰な色素抽出がされません。そのために色が薄いことが多く、またフィルター(濾過)を通さないことが多いため、ワインが濁っていることが多いです(ノンフィルタは香りとも関係があります)。

 

わいは、色からは想像できないほどにはるかに複雑で凝縮された味わいであることが多く、これはSO2不使用の良好な産物であるといえます。一言で言えば「梅こぶ茶」。でも到底一言では表現できる味わいと複雑さではなく、トマトの味だったり、干ししいたけの味だったりします。素直に旨いと感じることもあれば、物足りなくも、また、良くも悪くものけぞる味であることも。ビオワインは醸造過程で酸化防止剤が使われていない(ビオロジックの場合は極微量使用することもある)ため、酸化しやすいです。これは避けられません。しかしながら、酸化=劣化とは限らず、醸造過程で発生した不純な要素が酸化で取り除かれるという説もあり、また酸化によってより自然な味わいへ変貌することさえあります。通常のワインの保管温度(約14度)よりさらに低めの温度での保管であれば、抜栓後も一週間ほどは美味しく飲めるでしょう。わたしも、開けてから翌日、翌々日のほうが美味しかった経験が何度もあります。それでは皆さん、ビオワインを愉しみましょう!