1級シャトーが3つ、2級シャトー2つ、4級シャトーが1つ、5級シャトーが12
北はシャトー・ラフィットから南端のシャトー・ピション・ラランドまで、有名シャトーが点在するアペラシオンで、面積は約1200ha。1級格付け3つのシャトー(ラフィット、ムートン、ラトゥール)があり、全体では18のシャトーが格付けされています。主に砂利質土壌で、水はけがよく、カベルネ種の栽培に適しています。また、ジロンド河の水面から受ける輻射熱もカベルネの栽培に適していて、このためカベルネソーヴィニョンが多く植えられています。産出されるワインは、立ち昇る香りと豊潤な味わいが特徴の、非常に力強いワインとなります。
Lafite Rothschild(ラフィット・ロッチルド)
格付け 1級
面積 100.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン70% メルロ25% カベルネフラン3%
プティヴェルド2%
樹齢 45年
生産本数 21万本
醸造/熟成 ステンレスと木製タンクで3~4週間/新樽100%16~20ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン カリュアド・ド・ラフィット/28万本
試飲レポート
【ラフィット】 61 97【カリュアド・ラフィット】 00① 00②
1855年のメドック格付け1級の筆頭格。石灰質を主とする砂利質の土壌に高い比率でカベルネソーヴィニョンが植えられ、西洋杉のアロマとフィネスに富んだ偉大なワインが生まれる。1975年以前は凡庸なワインに終始していたが、以降は急速に品質回復し、シャルルシュヴァリエがディレクターになった1990年代半ばからはさらに飛躍的な向上を遂げている。西洋杉や黒鉛のアロマが豊富で、他の4大クリュと比べて、香り高さと品格を感じさせるほどのバランスのとれた味わいが印象的。
Latour(ラトゥール)
格付け 1級
面積 65.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン75% メルロ 20% カベルネフラン4%
プティヴェルド1%
樹齢 40年
生産本数 17万5000本
醸造/熟成 ステンレス槽で3週間/新樽85~100%17ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン レ・フォール・ド・ラトゥール/14万本
試飲レポート 【ラトゥール】 56 62 94 95 97 99 00
【レ・フォール】 00 02① 02②
【ポイヤック】 98
18世紀のルイ15世の時代、当時ラトゥールを所有していたセギュール侯(カロンセギュールでの逸話も有名)がヴェルサイユ宮殿に出向いた際、王はこう言って宮廷の人々に侯爵を紹介した。「諸侯らに最大の富豪を紹介しよう。なぜ最高かといえば、彼は“神のワイン”とダイヤモンドを産み出すからだ」神のワインとはもちろんラトゥールを指し、侯爵が付けていたのはダイヤモンドではなく石英だった。この石英は現在もシャトーの入り口に展示されている。
ポイヤックとサンジュリアンの村境、石礫質の土壌でジロンド河沿いというミクロクリマは、カベルネソーヴィニョンの栽培に適し、品種を完璧に表現させている。年ごとのヴィンテージの影響に左右されず、深い色合い、香りの幅と凝縮度、味わいの複雑さ、構成の大きさなど、常にたっぷりとした安定したワインを生む。壜熟に20年以上を要するヴィンテージもあり、力強いワインの代名詞的な存在。口に含んだときのコクとミネラルは特筆もの。近年は長命ながらも若いうちから美味しいワインにスタイルを変えつつある。
Mouton Rothschild(ムートン・ロッチルド)
格付け 1級
面積 78.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン77% メルロ11% カベルネフラン10%
プティヴェルド2%
樹齢 45年
生産本数 30万本
醸造/熟成 木製槽で3~4週間/新樽100%19~22ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルト
試飲レポート 72 94 95 97 98 99
1855年のメドック地区シャトー公式格付けで2級に格付けされ、1973年に1級へと昇格を果たした。昇格時にフィリップ・ド・ロートシルト男爵がラベルに付した言葉を『1級にはなれないが2級には甘んじられぬ。余はムートンなり』から『余は1級でありかつては2級だった。ムートンは不変なり』としたことは有名。1865年からロ-トシルト家の所有となっているムートンは、酒庫の入口に緬羊の頭像が三つ飾られている。1969年にはワイン博物館も開設されている。毎年著名な画家や芸樹家などがラベルを描くことでも有名。葡萄畑は石礫を多く含んだ砂質の石灰土壌で、カベルネソーヴィニョンが主体の重厚なワインが生まれる。グリエやモカの香りが常にたっぷりしていて、トーストを思わせる樽香、力強いタンニンが特徴。
Pichon Longueville Baron(ピション・ロングヴィル・バロン)
格付け 2級
面積 73.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン60% メルロ35% カベルネフラン4%
プティヴェルド1%
樹齢 30年
生産本数 24万本
醸造/熟成 ステンレスタンクで15~17日間/新樽70%15~18ヶ月
清澄あり 濾過あり
セカンドワイン レ・トゥーレル・ド・ロングヴィル/18万本
試飲レポート 82
ラトゥールの隣で真南に面した砂利質土壌という恵まれた立地にある。1855年当時はシャトーは分割されておらず、ピションラランドと同じだった。1987年からAXAの所有となり、醸造設備を一新したジャン・ミシェル・カーズの手で、肉付きがよく力強いワインを造っている。カーズ氏は2000年に引退し、現在はクリスティアン・セリが管理している。
Pichon Longueville Comtesse de Lalande(ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド)
格付け 2級
面積 75.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン45% メルロ35% カベルネフラン12%
プティヴェルド8%
樹齢 30年
生産本数 18万本
醸造/熟成 ステンレスタンクで18~24日間/新樽50%18~20ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン レゼルヴ・ド・ラ・・コンテス/16万本
試飲レポート 82 86 95① 95②
250年もの間、同族経営が続いていて、その間、オーナーはすべて女性というシャトー。現オーナーのマダム・ドゥ・ラングサンは1978年にその父から引き継いでいる。かつてはピション・ロングヴィルの一部でしたが、1850年に分離された。新樽で20ヶ月にも及ぶ樽熟を行っていますが、高いメルロの比率もあって酒質はやわらかく、若いうちから美味しいフルーティでなめらかなワインを産出しています。畑はポイヤックとサンジュリアンにまたがっていて、そのせいか酒質はサンジュリアン的なバランスのとれたものとなっています。
Duhart Milon(デュアール・ミロン)
格付け 4級
面積 75.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン70% メルロ28% カベルネフラン2%
樹齢 30年
生産本数 28万本
醸造/熟成 ステンレスタンクで18~24日間/新樽50%14~16ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン ムーラン・ド・デュアール/13万本
ロートシルト家のファミリーシャトー。4級にふさわしく、熟した果実やなめし革などの香りを備え持っている。1982年以降のワインは安定して優れた品質。
Pontet Canet(ポンテ・カネ)
格付け 5級
面積 78.9ha
品種 カベルネソーヴィニョン60% メルロ33% カベルネフラン5%
プティヴェルド2%
樹齢 30年
生産本数 25万本
醸造/熟成 発酵とマセレーションは天然酵母も手伝って木製50%コンクリート40%
ステンレス10%のタンクで3~4週間/新樽60%16ヶ月
清澄あり 濾過あり
セカンドワイン レ・オード・ポンテ/23万本
試飲レポート 96
ポイヤックの北側の砂礫の丘、ムートンロッチルドの隣に位置し、粘土や石灰を含んだ砂利質土壌の畑を持つ。ステンレスタンクの立ち並ぶ最新設備と地下酒蔵を持ち、メドック格付けシャトーの中でも最大級の生産量を誇る。
Batailley(バタイエ)
格付け 5級
面積 56.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン70% メルロ26% カベルネフラン3%
プティヴェルド1%
樹齢 35年
生産本数 30万本
醸造/熟成 ステンレスタンク/新樽60%18ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン なし
ポイヤック村の南に位置する、メドック全体を見ても最も古いシャトーの1つ。バタイエとは“戦争”を意味するフランス語で、かつての百年戦争の末期、ポイヤック村がその戦場であったことに由来している。1942年にオーバタイエとバタイエに分離した。1961年にエミール・カスティジャがオーナーとなってからは、シャトーの評価は向上し続けている。ムートンと同じ標高にあるが、石灰と石礫が中庸な砂質土壌で、土壌はムートンと異なっている。
Grand Puy Lacoste(グラン・ピュイ・ラコスト)
格付け 5級
面積 52.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン70% メルロ25% カベルネフラン5%
樹齢 35年
生産本数 19万5000本
醸造/熟成 ステンレスタンクで17~20日間/新樽45~55%18~20ヶ月
清澄あり 濾過あり
セカンドワイン ラコストボリー/12万本
ジロンド河から内陸にはいったバージュの丘にある。シャトーは19世紀に建てられた品格あるもの。グザヴィエ・ボリー氏の手により果実味を備え、力強くもまろやかなワインを造り出す。メドックの中でもコストパフォーマンスの高いワインのひとつ。
Grand Puy Ducasse(グラン・ピュイ・デュカス)
格付け 5級
面積 40.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン60% メルロ40%
樹齢 25年
生産本数 12~14万本
醸造/熟成 ステンレス槽で3週間/新樽50%18ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン プレリュード・ア・グラン・ピュイ・デュカス/1万8000~3万本
ポイヤックの中でも柔らかな味わいが特徴で、カフェの香りが豊富。1971年に行った葡萄の植え替えが樹齢とともに実を結び、またステンレスタンクを備えた醸造所の刷新などにより、近年安定した品質のワインを生んでいる。
Haut Batailley(オー・バタイエ)
格付け 5級
面積 22.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン65% メルロ25% カベルネフラン10%
樹齢 28年
生産本数 11万本
醸造/熟成 ステンレス槽で16~20日間/新樽30~50% 16~20ヶ月
清澄あり 濾過あり
セカンドワイン ラ・トゥール・ラスピック/3万5000本
1942年にバタイエがオー・バタイエとバタイエに分かれた。シャトーの建物を持たないシャトー。オーナーのユジェーヌ・ボリーはサン・ジュリアンにデュクリュボーカイユも所有している。ワインは秀逸で果実味が豊富、時に右岸のワインのようなフィネスを見せることもある。
Lynch Bages(ランシュ・バージュ)
格付け 5級
面積 89.9ha
品種 カベルネソーヴィニョン73% メルロ15% カベルネフラン10%
プティヴェルド2%
樹齢 30年
生産本数 42万本
醸造/熟成 ステンレス槽で15~17日間/新樽60%15ヶ月
清澄あり 濾過あり
セカンドワイン オー・バージュ・アヴルー/12万本
試飲レポート 95 99
ランシュ・バージュの名のランシュは、19世紀の所有者・ランシュ伯爵の名に由来し、バージュはポイヤック村字バージュにあることに由来する。1855年には5級という格付けだったが、現在は“スーパーセカンド”という称号を欲しいままにしている。オーナーのジャン・ミシェル・カーズはステンレスタンクの導入など最新醸造技術の導入に余念がない。格付け5級に対して市場価格は常に高く、ワインの品質の高さを物語っている。
Lynch Moussas(ランシュ・ムーサ)
格付け 5級
面積 58.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン70% メルロ30%
樹齢 25年
生産本数 24万8000本
醸造/熟成 ステンレスタンクで3週間/新樽60%12~16ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン なし
ボルドーでも名高いエミ-ル・カスティジャが所有するシャトー。ポイヤック村の原産地呼称になっているが、実際は隣村のサン・ソヴール村にある。標高20~30mで石灰を含んだ石礫の砂質土壌を持つ。醸造所の改築などにより近年品質が安定し、近年は比較的早い時期から飲めるワインを産出している。
D'Armailhac(ダルマイヤック)
格付け 5級
面積 50.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン56% メルロ22% カベルネフラン20%
プティヴェルド2%
樹齢 47年
生産本数 22万本
醸造/熟成 ステンレス槽で15~20日間/新樽35%15~16ヶ月
セカンドワイン なし
1988年まではムートン・バロンヌ・フィリップという名だった。ムートンの隣に位置し、樹齢の高い葡萄から濃厚で果実味に富んだワインを生産している。1995年以降は安定した品質で信頼が置ける。ムートンファミリーのワインを味わうにはコストパフォーマンスに優れたワイン。
Haut Bages Liberal(オー・バージュ・リベラル)
格付け 5級
面積 27.9ha
品種 カベルネソーヴィニョン75% メルロ25%
樹齢 30年
生産本数 12万本
醸造/熟成 新樽40%14~16ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン シャペル・ド・バージュ/5万本
ポイヤックの南、バージュの丘に位置し、ランシュバージュとピションバロンと隣り合っている。樹齢とともにワインの質は向上の一途をたどっていて、高いカベルネソーヴィニョンの比率もあり葡萄の完熟感のある強靭なワインを生んでいる。
Pedesclaux(ペデスクロー)
格付け 5級
面積 12.5ha
品種 カベルネソーヴィニョン50% メルロ45% カベルネフラン5%
樹齢 35年
生産本数 7万5000本
醸造/熟成 ステンレスタンクで18~22日間/新樽60%15ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン リュシアン・ド・ペデスクロー/7000本
Clerc Milon(クレール・ミロン)
格付け 5級
面積 30.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン46% メルロ35% カベルネフラン15%
プティヴェルド3% カルムネール1%
樹齢 51年
生産本数 17万本
醸造/熟成 ステンレス槽で3週間/新樽50%18ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン なし
1970年にフィリップ・ドゥ・ロートシルト伯爵が購入。ミロンの村にあり、ラフィットとムートンの間に位置し、ほぼ同じ土壌をもつ。樹齢の高い葡萄からは、深みのあるルビー色をした、早いうちから楽しめる、みずみずしいワインを造ります。
Croizet Bages(クロワゼ・バージュ)
格付け 5級
面積 30.0ha
品種 カベルネソーヴィニョン54% メルロ38% カベルネフラン8%
樹齢 28年
生産本数 15万本
醸造/熟成 ステンレスタンクで3週間/新樽25%18ヶ月
清澄あり 濾過なし
セカンドワイン ラ・トゥーレル・ド・クロワゼ・バージュ/3万本
バージュの丘に位置する。オーナーのポール・キエ氏はマルゴーにローザンガシーも所有している。