Rhone Overview(ローヌワイン概要)

旧サイトのコンテンツを移設しました。内容はもう10年も前に書いたものですが、また勉強しながら再編をしようと思います。


〜ふりそそぐ太陽と大地の恵み〜

<南仏ワインの概要>

アルプス山脈の雪解け水を地中海まで運ぶローヌ河。この河沿いに約200キロにわたって広がるコート・デュ・ローヌのブドウ畑。ローヌ河河口のマルセイユからコート・ダジュールのニースまで海岸沿いの丘陵地に海岸を望むプロヴァンスのブドウ畑。そして、イタリア国境に近い、地中海にうかぶ島コルシカ島=コルナス。ローヌ河沿いとプロヴァンス内陸は、夏の強い日差しに加え、アルプスの冷たい空気と地中海の温暖な気候との温度差が引き起こす、“ミストラル”と呼ばれる突風により、一時的な冷涼がもたらされます。冬場と春先にはこの突風が畑仕事の天敵となりますが、こうした気候によって、良好な酸を備えたワインが生れます。一方、地中海沿岸とコルシカ島は、地中海性気候(年間雨量300ミリ程度)により照りつける強烈な日差しがブドウを過熟させます。この土地では、暑い気候に対応できるブドウが必要とされます。また、温暖な気候のため大量のブドウが過剰に収穫されることから、地酒的なワインが多いのもこの地方の特徴です。

 

<コート・デュ・ローヌ>

ヴィエンヌからヴァランスまでがローヌ北部、ヴァランスからアヴィニヨンまでがローヌ南部に区分されます。ローヌ北部は準大陸性気候で、ローヌ南部が地中海性気候。ローヌ全域の栽培面積は約72,000haですが、このうち北部が1,500haで、南部が大部分を占めていることがわかります。

 

<ローヌ北部>

ローヌ河上流からコート・ロティ、コンドリュー、シャトー・グリエ、サン・ジョセフ、エルミタージュ、クローズ・エルミタージュ、コルナス、サン・ペレイと原産地があります。品種は1~2品種から造られ、赤はシラー、白はヴィオニエまたはルーサンヌ、マルサンヌです。

 

コート・ロティ

ローヌ渓谷最北端の原産地です。シラーを用いた赤ワインの産地で、面積約150haの小さな産地です。土壌は花崗岩土に雲母が混ざり、その中でも鉄分の多い部分とマンガンの多い部分があり、鉄分とマンガンの異なる含有量から土壌の色合いが違います。コート・ブロンドCote Blonde(茶褐色の土壌)、コート・ブリュンCote Brune(褐色の土壌)と呼ばれます。コート・ブリュンのワインが比較的早く熟成するのに対し、硅質石灰を含む土壌のコート・ブロンドのワインはゆっくりと熟成する傾向があります。アンピュイAmpuisの町を横切る国道45号線を境に、コート・ブリュンはコート・ロティの北側、コート・ブロンドは南側に位置しています。

 

シャトー・グリエ

シャトー・グリエは、シャトー名ではありません。ローヌ河右岸にある原産地名です。ヴェランとサン・ミッシェル・シュール・ローヌの二つの町村にまたがっている約2haの小さな産地で、左右をコンドリューにはさまれ、標高90mから190mの間に位置します。主に花崗岩の茶色の土壌で、使用品種はヴィオニエのみ。辛口の白ワインを産出します。

 

エルミタージュ

ローヌ渓谷のワイン産地のほぼ中央に位置します。ローヌ北部の中では南端に位置しています。ちょうどこのあたりが北部の大陸性気候と南部の地中海性気候の分かれ目となる一帯の上になります。ヴァランスから北へ18㎞ほどのところにあるタン・エルミタージュの町。この町の背後にある丘の斜面がエルミタージュのブドウ畑です。町の標高が124mであるのに対し、畑は306mの高さまであり、テラス状の畑です。この丘の、標高の高くない部分がクローズ・エルミタージュと呼ばれています。両産地とも赤はシラー、白はマルサンヌやルーサンヌが使用されます。土壌は花崗岩質で、赤ワインの生産には石灰分の多い畑が選ばれます。レルミット、シャントゥ・アルゥ・エットゥ、ル・メアル、ラ・シャペル、レ・ブサール、ラ・ヴァローニュ、レ・グレフュ、ロォム、レ・ピエルルなどの畑があります。白ワインには粘土質の畑が選ばれ、メゾン・ブランシュ、レ・ロクール、レズュール、レ・ディオニュール、ラ・クロアといった畑があります。特に、レ・ブサールやル・メアル、レ・グレフュ、コトウの畑が秀逸といわれ、いずれもポール・ジャブレ・エイネ社、ジャン・ルイ・シャーヴ家、M・シャプティエ社が所有しています。

 

<ローヌ南部>

地中海沿岸地方で栽培されるほとんどのブドウ品種が栽培されています。赤、ロゼ、白が造られますが、複数んぼ品種を組み合わせて醸造する特徴があります。ローヌ河右岸はリラック(赤、白、ロゼ)、タヴェル(ロゼ)と二つの原産地があり、左岸はコートー・デュ・トリカスタン(赤、白、ロゼ)、ジゴンダス(赤、ロゼ)、ヴァケイラス(赤、白、ロゼ)、コート・デュ・ヴァントゥ(赤、白、ロゼ)、コート・デュ・リュベロン(赤、白、ロゼ)、シャトーヌフ・デュ・パープ(赤、白)、天然甘味ワインVin Doux Naturelのラストー(赤)Rasteauおよびミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ(白)Muscat de Beaumes de Veniseがあります。

 

シャトーヌフ・デュ・パプ

“法王の新しい城”というなの原産地(約2,300ha)。1309年にローマ法王庁が分裂した際、正統派のクレメンス五世はアヴィニョンに幽閉されましたが、12㎞北のこの地に別邸を構えたことが名前の由来です。現在は、町のいちばん高い丘に邸宅の壁面だけが残っています。この地でブドウ栽培が始められたのは1309年から。1800年に入って、ネルト伯爵が「シャトーヌフ・デュ・パープのワインは長命の薬」と言うと、さらに活発な栽培が始まったといいます。シャトーヌフ・デュ・パープの原産地では、次の品種のブドウが指定されています。グルナッシュ・ノワル(赤)、グルナッシュ・ブラン(白)、クレーレット・ロゼ(赤)、クレーレット・ブラン(白)、シラー(赤)、ムールヴェドル(赤)、ピックプール・ノワル(赤)、テーレ・ノワル(赤)、クノアーズ(赤)、ムスカルダン(赤)、ヴァカレーズ(赤)、ピカーダン(赤)、サンソー(赤)、ルーサンヌ(白)、ブールボラン(白)。地質は洪積層に含まれ、主に硅土質土壌ですが、標高が25mから120mとかなりの差があります。使用可能品種が多いことからも、生産者は畑に合った品種を使用するため、同じ原産地内でもさまざまな個性を持ったワインが生れます。

 

プロヴァンス

プロヴァンスといえば、カンヌやモナコなどの美しい観光地として有名ですね。地中海の海岸地帯は、コートダジュール(紺碧海岸)と呼ばれています。プロヴァンスのブドウ畑は、“ミストラル”やアフリカ方面から

吹く熱風をさえぎるため、地中海黒松と糸杉に覆われています。土壌は大きく三つに分類され、サン・ラファエルの町の南を流れるアルジェン河の南側から南端のツーロンにかけての西南が花崗岩土壌、海岸線沿いが硅土質石灰土壌、アルジェン河の北側が雲母片岩土壌です。原産地呼称は、「ベレ」「コート・ド・プロヴァンス」「バンドール」「カシス」「パレット」「コートー・デクサン・プロヴァンス」「レ・ボー・ド・プロヴァンス」などがあります。

 

コート・ド・プロヴァンス

赤、ロゼ、白が生産されています。1977年からAOC呼称産地に昇格しました。これに伴い、将来に向かってさらにワインの品質を向上させるため、それまで赤やロゼの主要品種だったカリニャンの混醸割合を減少させ、かわってサンソー、グルナッシュ、ムールヴェドル、シラー、ティボランを用いてこれらの混醸割合を上げています。これは法律で整備されたもので、1995年から40%以上、2000年から60%以上、2005年から70%以上、2015年から80%以上(逆にカベルネソーヴィニョンは30%以内、カリニャンは40%以内に抑える)にすることと定められています。白ワインはクレーレット、セミヨン、ユニ・ブラン、ヴェルマンティーノに指定されていています。主にクレーレットとユニ・ブランを使用しています。ロゼは、“サイネ方式”と呼ばれるプロヴァンス独自の方式で醸造されます。

<サイネ方式>

1.ブドウを破砕・除梗したのち、果皮、果肉、果汁、種子(混和してもろみとなります)を発酵タンクに入れます。

2.もろみの状態で果汁と果皮を3~4時間接触させると、果汁に果皮の色素が抽出されてきます。

3.数時間後に果皮を接触させている果汁の20~30%を分離して別のタンクに入れ、ロゼワインとして発酵します。

4.残ったタンクの果皮と果汁は、赤ワインとして発酵します。この赤い果汁を分離してロゼワインとする方法を“サイネ方式”と呼びます。サイネとは、「血のような色合い」の意味です。

 

コートー・デクサン・プロヴァンス

赤、ロゼ、白が認められています。使用が認められている品種は、サンソー、クノアーズ、グルナッシュ、ムールヴェドル、シラーなどです。カベルネソーヴィニョンとカリニャンの比率は30%以内に抑えることとされています。ロゼワインにはサイネ方式が認められています。その際、果汁収得割合は30%以内とされています。白ワインはブールボラン、クレーレット、グルナッシュ・ブラン、ソーヴィニョン、ユニ・ブラン、ヴェルメンティーノの混合で70%以上を占め、そのうちセミヨン、ソーヴィニョン、ユニ・ブランで40%以内またはソーヴィニョンとセミヨンで30%以内と定められています。

 

レ・ボー・ド・プロヴァンス

ローヌ河の河口に広がる産地で赤とロゼが認められています。1995年にコートー・デクサン・プロヴァンスから独立して原産地となりました。

赤はグルナッシュ、シラー、ムールヴェドルの三品種で60~90%、サンソー、クノアーズ、カリニャンで30%以内、カベルネソーヴィニョン20%以内と指定されています。ロゼはカベルネ・ソーヴィニョンを10%以内とされていて、サイネ方式によるロゼは、赤とロゼの品種割合を同一とし、果汁収得割合を50%以上とすることが指定されています。

 

バンドール

バンドールでブドウ栽培が始まったのは紀元前600年ごろ。西暦125年にはローマ人の手によりワイン造りが始められました。バンドールとして原産地呼称が指定されたのは1941年で、品種はムールヴェドル、グルナッシュ、ムールヴァイゾン、サンソーが指定されました。このうち主要品種は60%以上を占め、ムールヴェドルは20%以上の使用が規定されました。また、補助とするカリニャン、カリトール、ティボラン、シラーなどは、20%以内とされています。バンドールの原産地は、バンドール、サナリ、ル・カステレ、ラ・カディエル・ダジュールの四つ。特にロゼが有名で、すべて黒ブドウから造られたオレンジの色調が特徴です。

 

コルス(コルシカ島)

コルシカ島は、ギリシャ人によって植民地となったことで、ブドウ栽培が始められました。島内のブドウ栽培面積は1万haにもおよびます。原産地統制呼称ワイン産地(約2,300ha)は、パトリモニオ(赤・ロゼ)、アジャクシオ(赤、ロゼ、白)、ヴァン・ド・コルス+(カルヴィ、サルテーヌ、フィガリ、ポルト・ヴェッキオ、コート・デュ・カップ・コルス)(赤、ロゼ、白)、ヴァン・ド・コルス(赤、ロゼ、白)、ミュスカ・ド・カップ・コルス(甘口)と五つあります。年間約8,000klのワインを生産しています。